今年こそはと思い久々に年間ベストのブログを書かせていただきます。
トップ10のアルバムを選定して発表しますね。
それではいきましょう!
10.Pickle Darling - Bigness(Z Tapes)(1/4)
ニュージーランドはクライストチャーチのLukas Mayoさんによるインターネット経由な宅録ベッドルームポップのソロプロジェクト。今回の2ndアルバムもスロヴァキアのZ Tapesからリリース。まず言えるのはアルバムの1曲目Bicycle Weatherがめちゃくちゃ名曲だということ。冒頭のイントロからいきなりのクライマックス感。ゆったりとした打ち込みのビート・リズムに乗せて曲は進んでいきます。秘密にしておきたいことをこっそり打ち明けてくれるようなそんな無邪気な曲の歌詞にも心打たれます。全体を通してもイノセントな幼少期を省みるようなセンチメンタルさとノスタルジックな趣きを感じられて好きなタイプです。あとは楽器のチョイスなり音色なり泣きのメロディがすごくそれらを助長させています。個人的にはHoward HelloやMisophoneなどのグッドポップスなバンドたちを思い出しました。このアルバムは今年の1月も早々に聴いてこれはとてもいいアルバムだから確実に年間ベストに入れようとその場で決心したようなそんな好盤になりました。10位。
9.Cherry Glazerr - Stuffed & Ready(Secretly Canadian)(2/1)
カリフォルニア州はLAの3ピースバンド。2019年にアルバムをリリースしたSASAMIさんが在籍していたバンドでもありますね。そこを起点に初めて聴いた訳です。やるせなさをギターでかき鳴らして発するようなノイジーなサウンドで脳天に雷を打たれました。そんなノイジーなギターサウンドにも埋もれない歌の力があります。メロディはしっかりしていてポップでキャッチーという見事な出来です。90sのグランジさらに言うとNirvanaのアップデート型なんですけどそれだけでは終わらなくしっかりとしたサウンドメイクやアルバムを通しての作り込みがしっかりしているため音源としてとても優れていますね。今年も女性voのオルタナティブなインディーのバンドが多くビッグネームのJay Somや似たようなオルタナ・グランジなShady Bugというバンドも好みだったのですがその中でもCherry Glazerrのこのアルバムはその完成度とキャッチーさが個人的に頭ひとつ飛び抜けていました。過去作も聴かねば。9位。
8.Omni - Networker(Sub Pop)(11/1)
ジョージア州はアトランタの3ピースバンド。2ndまでのTrouble In MindからSub Popへレーベルを移籍してからの3rdアルバムになります。Omniは1stの頃からずっと追っているバンド。最近ではそのサウンドのフォロワーも見受けられますが1stから一貫してトリッキーなロックサウンドという特徴があります。ポストパンクマナーの鋭角なギター、ベースはウネリながら踊り、ドラムは個性を消しつつもドタバタしたり性急感を演出したりとひと癖あるサウンドになってます。楽器のアンサンブルのなかにも隙間が存在していてそれが緊張感にもその反対の方向性の脱力感そしてさらには軽やかさにも繋がっています。今回の3rdアルバムのNetworkerではそのサウンドにも更なる磨きがかかっています。2曲目のCourtesy CallではTelevisionのMarquee Moonのリフをほぼそのまま拝借したようなフレーズが出てきたりと思わずニヤリとしてしまう仕掛けにもグッときました。全体的には言ってしまえば変てこポストパンクなポップサウンドであります。ずっとファンです。8位。
7.Horse Jumper of Love - So Divine(Run For Cover)(6/28)
マサチューセッツ州はボストンのグランジ・スロウコアな3ピースバンドによる2ndアルバム。2017年の1stのHorse Jumper of Loveというセルフタイトルアルバムが後追いながらかなりググっときたため今回の2ndアルバムSo Divineにもかなり期待を寄せていました。完全なる静寂や宇宙にまで届いてしまうんじゃないかというくらいの静と動の対比があるグランジマナーのギターワークとそれを支えるダウンテンポなリズム隊にささやいたり咆哮したりする優しくも激しい歌声。現実の世界で今ここにいながら目には見えない規模の大きい物体を追い求める渇望や祈りなどが色濃く出ていることが見受けられます。スロウコア的なゆったりさにノイジーでだらっとしたギターが乗るそのサウンドはズルズルとだらしのない感じにも聞き取れるんですが歌詞を眺めつつ通して聴くとその高さや深みのある曲達にハマって引き込まれました。ちなみに1stからこのバンドのアルバムをリリースしているRun For Coverは今トップクラスで輝いている最高の音楽レーベルですね!推しです。7位。
6.Hikes - Mahal Kita(Community)(11/22)
5.Mac DeMarco - Here Comes The Cowboy(Mac’s Record Label)(5/10)
カナダ出身のSSWの新譜。4枚目が公式なようだけどもっとたくさん出ている気がする。今作は自身のレーベルからのアルバムリリース。思えば大分作風も変わってきてまして個人的にはSalad Daysと2が過去作では好きです。この新譜のことをお話ししますね。聴いてて思ったのは平坦な日常をさらに焼き増ししてフィーチャーしたような音楽集だなということ。ただアルバムを通して変化してない訳ではなくChoo Chooのようなアッパー寄りな曲もあったりHeart To Heartのような夜っぽい曲もあったり1日の中での時間の移ろいのような感覚を受けます。そして全体を通すほの寂しい感じは枯れやわびさび、そして終わりや無を表現している気がします。私たちの昨日はもうすべて過ぎ去っていきまた新しい日が始まりを迎えるだろうそして今日という日はバイバイするけどまだ今日でいさせてくれよパーティーは実はまだ終わってないんだぜ。という感じもします。特にアルバムの一番最後とかの驚きの展開とか。いやしかしでもこの音楽はとても優しく聴き手に寄り添ってくれること請け合いですよ。決してうるさくはないし音数の少なさやフォーキーな趣きも全体を通してリラックスして聴けていいですね。5位。
4.Julia Shapiro - Perfect Version(Hardly Art)(6/14)
ワシントン州はシアトルのバンドChastity BeltのフロントウーマンJulia Shapiroのソロ1stアルバム。Chastity Beltのバンドとしての新譜も今年リリースされてそちらもすごくよかったのですが自分はこちらのソロアルバムを推したいです。暗く閉ざされた自分自身の殻から上を少し見上げると微かに見える光が差してくる。その明るく輝く光を追い求めるように希望を持つ。そしてゆらゆらとした青白い炎をゆっくり少しずつジリジリと燃やしているようなそんな印象を受けます。サウンド的には(Sandy) Alex GやElliott Smithのような内省フォークポップのスタンスでGalaxy 500のようなバンドサウンドをほぼ一人で作り上げてしまったという感じ。随所にあるレイヤーがかったギターノイズも曲のよさを邪魔せずそれを活かす方向性に持っていってますね。こういう内省的なアルバムはずっと聴けるよさがあります。陶酔できる美しい世界観がとても身に染みました。4位。
3.Crumb - Jinx(Crumb)(6/14)
2.Aldous Harding - Designer(4AD)(4/26)
1.(Sandy) Alex G - House of Sugar(Domino)(9/13)
以上、年間ベストでした。
基本的に内省的でセンチメンタルでノスタルジックな音楽が好きなので今年のアルバムの選定はそれに見事に当てはまりました。
そしてこのベスト10以外にも2019年は素晴らしいアルバムが多かったですね。
今年は定期的に新譜を確認していましたし他の方面もちらっとは聴きましたがまあやはり今回のベストは例年と同じようにバンドものが主体となりましたね。
そして
10年代も今年で終わりというわけですね。
気が向いたら10年代ベストのブログも書きたいところではあります。
気が向いたら...。
来年からは2020年でまた新たな10年間も始まります。
当ブログも機会みつけてアルバム紹介とかもまたやりたいです。
それではご覧いただいている皆さまよいお年をお過ごしください。