2021年12月19日日曜日

AOTY 2021(年間ベストアルバム)

どうもです。お久しぶりです。

今年は年間ベストをちゃんと決めようと思って選びました。

前置きはおかずいってみましょう。

それでは!2021年のベストアルバムTOP10です。


10.Nation of Language - A Way Forward(11/5 Play It Again Sam)

ニューヨークの3人組で80sテイストなニューウェーブ・インディポップバンド。今回は2ndアルバムですね。エレクトロビートやシーケンスに乗せたギター混じりのシンセポップサウンド。インディ感もあるサウンドでそれこそBlack MarbleやDrab Majesty、Choir Boyなどに通ずるものがあります。その中でもこのバンドの大きな特徴で今挙げたバンドと差異化が図れる点はスケールの大きなうたにあると思います。1stの頃からその片鱗はみせていましたがこの2ndはそれが顕著に現れてます。歌われるメロディラインはゴシックやセピア色のものではなく血が通っていて世界に轟かせるような熱量のあるものになっていますね。ゴシックとは真逆な光輝くイメージのメロディは聴いてて胸が熱くなりますしM2のLyric VideoをYoutubeで見聞きしていたら涙が止まらなくなって号泣してしまったという経緯もありました。10位。


9.Floatie - Voyage Out(3/26 Exploding In Sound)

シカゴの4人組バンド。100%信頼レーベルのExploding In Sound Recordsからのリリース。奇数拍子のオンパレードでリフや決めを繰り返す感じのマスロック。エモやポストハードコア〜マスロックな流れを汲むのはもちろんのことながらハードさはまったくなくてソフトで軽やかでクリーンなサウンドになっています。非常に特徴がありますね。リリース元のEIS Recordsは2021年もグッとくる音源を数多くリリースしました。個人的にはOvlovやEditrixなどがハードで熱量のある音ですごくよかったです。その中でもこのFloatieのVoyage Outはザクザクとしつつもふわっとした感覚があって繰り返し聴ける感じがとても好印象でした。Floatieに関連してシカゴのバンドシーンが今年もとても熱かったです。StuckのEPは同じくExploding In Soundからリリースされて個人的にシカゴシーンとEIS Recordsとの邂逅だ!と個人的に熱かったです。9位。


8.PACKS - Take The Cake(5/21 Fire Talk)

カナダはトロントのMadeline Linkを中心とした4人組。Fire Talkからのリリース。昨年のSoccer Mommyや今年のSnail MailやIan Sweetなどローファイの要素を含んだオルタナポップには勢いがある昨今ですがこのPACKSをベスト10に入れました。ダウナーでやる気や勢いがなくヘロヘロとよれてるのにもかかわらず放っておけない青い炎がメラメラと発せられてるような印象でした。曲が短いのがとてもいいし変だなと思うところもちょっとあってそれがスパイスになってますね。リリース元のFire Talkは2020年に私的に大ブレークした今最もホットなレーベルです。今年もこのPACKSを始めBnnyやWomboなどめちゃくちゃいいリリースをしていました。デンマークにICEAGEというバンドがいますが2021年リリースされたアルバムのDrink The Rainという曲を今年中にPACKS(というよりほぼ弾き語り)がカバーするというのも話題でしたね。8位。


7.Kiwi jr - Cooler Returns(1/22 Sub Pop)

こちらもカナダはトロントの4人組Indie Rock・ガレージバンド。Parquet Courtsを思い出させるようなガレージ要素のあるIndie Rockのサウンドが醍醐味ですね。彼らの曲を聴いてると過去のあの時の時間は戻ってこないというような30代の悲哀がサウンドに乗っていてそれがとてもいいです。バタバタと性急感のあるリズムに乗せて泣きのメロディを歌う様はカッコいいとは言えなくても親しみやすかったり人懐っこかったりする印象を受けます。このアルバムがリリースされた今年の1月頃はバンドサウンドはダサいと思っててひたすら打ち込みやトラップっぽいリズムの曲を聴いてたんですけどこのアルバムを最初に聴いたときに頭に雷を落とされたような感覚になって自分の誤りの訂正に一役を買ってもらいました。やっぱバンドサウンドは永遠に好きだという認識をさせてもらえた貴重な1枚でした。それが思い出深いです。7位。

6.Cory Hanson - Pale Horse Rider(4/16 Drag City)

ロサンゼルスの5人組バンドWandのフロントであるCory Hansonの2ndソロアルバム。フォークやカントリーなスタイルに思い切り振り切ったアルバムになっていますね。ピアノや管弦楽を取り入れていてそれらによって獲得されるのは牧歌的な懐かしさや郷愁感で元々持っていたソングライティング的な曲のよさを存分に引き出しています。フォークやカントリーと言ってもそこはやはりWandでギターノイズをガンガン出しているだけあってロック的なダイナミズムのあるギターソロもありますし聴きどころもたくさんです。M9での曲の後半から終わりまで続く痺れのギターソロはベストなギターソロでした。全体的にゆったりとリラックスした曲たちがMVでも出てきたような乾いた砂漠や広大な海のような雄大さを想起させますね。曲に寄り添うようなバックの演奏もしみじみいいですよ!6位。

5.SPIRIT OF THE BEEHIVE - ENTERTAINMENT, DEATH(4/9 Saddle Creek)

フィラデルフィアのバンドの4枚目のアルバム。異形なオルタナティブロック。作品群の当初は比較的わかりやすいオルタナティブロックだったのですが何と何が合わさって化学反応を起こしたらこういう音になるのだろうという不可思議な路線へ。音楽性やジャンル的にはなんて言っていいかわからずカテゴライズが難しいので最初にこのアルバムを聴いたときはすごく驚きました。曲の展開とかも奇想天外でまったく予定調和がない感じで頭にクエスチョンマークが浮かびます。ただガツンとしたり良いメロディだなと思わせるパートもしっかりと入っていてまとまってます。曲中に垣間見れるサンプリング的に切り貼りするエディット感覚やエンターテイメント、死そしてデビルなジャケットにも見てとれてそれらを総合して表現されるディストピア感はVaporwaveの印象も受けました。ゆったりラウンジ的にも聴ける要素もあるのでそんなに重さはないです。Saddle Creekからのリリースでバンドのステップアップにもつながる作品になったのではないかと思います。5位。



4.ひどろはるか - 白夜(4/1 A Little Society Tape)

千葉県柏市を中心に活動しているSSW。同じく千葉県市原市五井で営業しているカセットテープ店ゴヰチカのレーベルA Little Society Tapeよりリリースの6曲入りカセットテープ。私的に年間ベストを作成するときは洋楽というのが前提条件であるのですが今年はこのひどろはるかさんのカセットを是非とも推したいという思いで上位に入れました。ギターと声で構成されるノスタルジックな世界観は痛みとそれを拭うような鎮痛剤の役割を果たすような曲群でグッときます。4月頃はこの音源を繰り返し聴いてぼんやりとした思いで過ごしていました。爪弾かれるギターとか細い歌声の組み合わせだけで聴いてるひとの内側にあるトゲのようなものを引き抜くようなヒーリング要素があります。曲調は様々で8月のうだる暑さや冬の夜のしんとした情景など季節に寄り添うようなシーンが浮かびますしメロディで周囲に色が付くような感覚も覚えます。リリース元のゴヰチカさんも8月に開催のライブでお邪魔させていただいたりしてローカルでDIYなカルチャーを体現していてとてもよかったです。ひどろはるかさんのライブも柏ALIVEで何回か観ていますがとてもいいですよ。というわけで今回唯一の邦楽でした。4位。



3.makthaverskan - För Allting(11/12 Run For Cover)

スウェーデンはヨーテボリの5人組バンドの4thアルバム。今年の最初に聴いたときのインパクトでトップ1でした。80sのニューウェーブ、ドリームポップ、インディポップでゴシックなんだけどパンクだしエモい。ナチュラルに鳴らされる音のごった煮感・ミックス感がとても刺さりました。このミックス感のあるサウンドの肝である七色あるんじゃないかと思われるギターアレンジがとても素晴らしいし最大の特徴である伸びやかなボーカルはそのままの勢いで自分に呼びかけてきますね。サウンドはゴシックだったりしますが曲調は様々でM2の夕暮れの太陽を追いかけてかけ足をしてるような情景が浮かんだり。M10はライブで観たとしたら飛び跳ねながら泣いてしまうじゃないかと思われるくらい熱量のある曲でした。全体のテーマ的にが光を希求するような態度に見受けられてそれが胸に迫るものがある原因かと思われました。ちなみにUS盤をリリースしているRun For Cover RecordsはSun June、Another Michael、Mini Trees、Citizen、Runnnerなど今年も大豊作でしたよ。3位。



2.Black Country, New Road - For The First Time(2/5 Ninja Tune)

ロンドンの7人組バンドの待望の1stアルバム。UKのサウスロンドンが熱いという認知をしたのは私的にはblack midiがKEXPのYoutubeでパフォーマンスをしたのを観てヤバいと思った2019年くらいの初頭だと思いますが段々とここら辺のバンドの勢いが可視化されてきてこのBlack Country, New Roadもヤバいということがささやかれていてアルバムが早くリリースされないかなと期待をしていました。そこで今年の2月にこのアルバムがリリースされてついにきたかという思いでした。聴いてて思ったのはSlintとGodspeed You! Black Emperorを足して割ったような世界観だなということ。すなわち自分がとても好きな音だという事実。サックスとバイオリンが管弦楽的な迫力を出して2本の絡むギターにヒステリックにブツブツと呟くようなvoスタイルがクセになります。過去への憧憬と新しいものを自分たちで作り出すという強い意志もアルバムを通して聴いて感じますね。6曲入りで40分ということで曲の尺が長いのですがドラマティックだったりプログレッシブに曲が進むので引き込んだまま離さない感じでした。アーティスト写真の大学の仲のいい友だちで結成したような颯爽とした感じからは想像もできないくらいの芯の強い音がありました。2022年には2ndアルバムの予定しておりそれもすごく楽しみなのです。2位。



1.Renée Reed - Renée Reed(3/26 Keeled Scales)

USはルイジアナ州はラファイエットSSWの1stアルバム。リリースは今年認知した激レーベルのKeeled Scalesから。まずは何故このアルバムが1位なのかというと今年の自分は不完全なものに対して完璧を求めるようなモードだったからです。今年聴いたアルバムはどれを聴いても普通によくできてるなと関心する内容の印象でした。そのなかで感じたのは作品として完璧さにこだわっているような気がしてそれはそれで大切なことではあると思うのですがどこか形骸化したような印象を受けることもたくさんありました。決して批判する気はなくそれを咎めるようなことでもないのでモヤモヤしていました。そんな自分の思いの中でこのアルバムを初めて聴いたときに現れたのはアコースティックギターの爪弾かれる旋律と重ねられた声のみ。この弾き語りというフォーマットの中でRenée Reedはギターに乗せて物語を爪弾いて夢を見ているように歌うのが見て取れます。最小限で最大限の音世界を見せてくれる。不完全だけど完璧ということがとても腑に落ちてしまいました。そしてその音世界は夜に見る夢または白昼夢そして場末な印象を受けます。目には見えないような幽霊のようなものと自分を対峙させてそれを曲に乗せて歌ってるような感じが印象的で繰り返し聴いてしまいました。ゆらゆらと酩酊して夢を見つつうたを歌うのが聴いてて心地よかったんですね。これだけのことですが完璧に見えました。万人受けはしないけど私的には大名盤でしたよ。冒頭でお話ししたKeeled Scalesの今年のリリースではBig ThiefのBuck MeekのソロやKarima WalkerやKaty kirbyなどすごくいいアルバムがたくさんリリースされました。その中でもRenée Reedのこのアルバムが無視されてるような気がしたので聴いた回数も含めてトップにしました。1位。

それでは2021年の年間ベストでした。

来年もいい作品に出会えるように願っています。

それでは皆さまよいお年を!

2021年9月19日日曜日

日常ブログとして

こんにちは。お久しぶりです。はやしです。

放置し続けている当ブログ。
そのままにしている理由は書くのが面倒くさいとかTwitterで満足だとか2,3個くらいの浅はかな理由があります。
それに対して書く意義というものがまったくないことが書かない最後の理由になっていました。

そんななかで近頃は
日常を切り取りとった文章を書きたいというぼんやりとしたものを抱くようになりました。

このことの理由は
あまりにも時間の経過が早いのでクサビのようなものをどこかで打っておきたい。
という何かを切り取ってどこかに記録しておくということの大切さを考えたからです。
そして
のっぺりとしたどこまでも続いていくような生活のなかで 自分の老いをたしかに感じてきた近頃。
このままでは過去が流れたまま今もそのまま垂れ流し未来も特に別にな感じで輝かずになってしまうのではないか。
というなんとも言えないとても微弱ながらあるにはある危機感の高まりからです。

Twitterでも140字のなかで色々と書いていてクサビの役割をある程度は果たしていますけどあれも関係性のなかでの文章なので面白くないなという思いから去年以降は若干控えてきました。
そして
この得体の知れない微弱な危機感は年々高まっていて何かを書かずにはいられないというところまで来てしまいました。

ここにきて
ブログを書くという意義が必然として浮かび上がってきた次第です。

書く意義や理由が書きたいからということでいい感じに気持ちが整ってきました。

理由は強ければ強い方がいいですがこういうゆるっとぼんやりとした理由の方がもしや書き続けられるのではないかという思いがあります。
ブログをやる理由もやらない理由も特にないというのが本当のところですが
やるならやると決めてしまった方があーだこーだという心の揺れ動きがないのではないかと思います。

という訳で今回から日記のようなブログを書いていきたいです。
適当につらつらと訥々と。
今はそう思っています。
それでは。

2019年12月12日木曜日

AOTY 2019

4年もの間、放置していた当ブログ。
今年こそはと思い久々に年間ベストのブログを書かせていただきます。
トップ10のアルバムを選定して発表しますね。
それではいきましょう!




10.Pickle Darling - Bigness(Z Tapes)(1/4)

ニュージーランドはクライストチャーチのLukas Mayoさんによるインターネット経由な宅録ベッドルームポップのソロプロジェクト。今回の2ndアルバムもスロヴァキアのZ Tapesからリリース。まず言えるのはアルバムの1曲目Bicycle Weatherがめちゃくちゃ名曲だということ。冒頭のイントロからいきなりのクライマックス感。ゆったりとした打ち込みのビート・リズムに乗せて曲は進んでいきます。秘密にしておきたいことをこっそり打ち明けてくれるようなそんな無邪気な曲の歌詞にも心打たれます。全体を通してもイノセントな幼少期を省みるようなセンチメンタルさとノスタルジックな趣きを感じられて好きなタイプです。あとは楽器のチョイスなり音色なり泣きのメロディがすごくそれらを助長させています。個人的にはHoward HelloやMisophoneなどのグッドポップスなバンドたちを思い出しました。このアルバムは今年の1月も早々に聴いてこれはとてもいいアルバムだから確実に年間ベストに入れようとその場で決心したようなそんな好盤になりました。10位。


9.Cherry Glazerr - Stuffed & Ready(Secretly Canadian)(2/1)

カリフォルニア州はLAの3ピースバンド。2019年にアルバムをリリースしたSASAMIさんが在籍していたバンドでもありますね。そこを起点に初めて聴いた訳です。やるせなさをギターでかき鳴らして発するようなノイジーなサウンドで脳天に雷を打たれました。そんなノイジーなギターサウンドにも埋もれない歌の力があります。メロディはしっかりしていてポップでキャッチーという見事な出来です。90sのグランジさらに言うとNirvanaのアップデート型なんですけどそれだけでは終わらなくしっかりとしたサウンドメイクやアルバムを通しての作り込みがしっかりしているため音源としてとても優れていますね。今年も女性voのオルタナティブなインディーのバンドが多くビッグネームのJay Somや似たようなオルタナ・グランジなShady Bugというバンドも好みだったのですがその中でもCherry Glazerrのこのアルバムはその完成度とキャッチーさが個人的に頭ひとつ飛び抜けていました。過去作も聴かねば。9位。


8.Omni - Networker(Sub Pop)(11/1)

ジョージア州はアトランタの3ピースバンド。2ndまでのTrouble In MindからSub Popへレーベルを移籍してからの3rdアルバムになります。Omniは1stの頃からずっと追っているバンド。最近ではそのサウンドのフォロワーも見受けられますが1stから一貫してトリッキーなロックサウンドという特徴があります。ポストパンクマナーの鋭角なギター、ベースはウネリながら踊り、ドラムは個性を消しつつもドタバタしたり性急感を演出したりとひと癖あるサウンドになってます。楽器のアンサンブルのなかにも隙間が存在していてそれが緊張感にもその反対の方向性の脱力感そしてさらには軽やかさにも繋がっています。今回の3rdアルバムのNetworkerではそのサウンドにも更なる磨きがかかっています。2曲目のCourtesy CallではTelevisionのMarquee Moonのリフをほぼそのまま拝借したようなフレーズが出てきたりと思わずニヤリとしてしまう仕掛けにもグッときました。全体的には言ってしまえば変てこポストパンクなポップサウンドであります。ずっとファンです。8位。


7.Horse Jumper of Love - So Divine(Run For Cover)(6/28)

マサチューセッツ州はボストンのグランジ・スロウコアな3ピースバンドによる2ndアルバム。2017年の1stのHorse Jumper of Loveというセルフタイトルアルバムが後追いながらかなりググっときたため今回の2ndアルバムSo Divineにもかなり期待を寄せていました。完全なる静寂や宇宙にまで届いてしまうんじゃないかというくらいの静と動の対比があるグランジマナーのギターワークとそれを支えるダウンテンポなリズム隊にささやいたり咆哮したりする優しくも激しい歌声。現実の世界で今ここにいながら目には見えない規模の大きい物体を追い求める渇望や祈りなどが色濃く出ていることが見受けられます。スロウコア的なゆったりさにノイジーでだらっとしたギターが乗るそのサウンドはズルズルとだらしのない感じにも聞き取れるんですが歌詞を眺めつつ通して聴くとその高さや深みのある曲達にハマって引き込まれました。ちなみに1stからこのバンドのアルバムをリリースしているRun For Coverは今トップクラスで輝いている最高の音楽レーベルですね!推しです。7位。


6.Hikes - Mahal Kita(Community)(11/22)

テキサス州はオースティンの4人組エモ・マスロックバンドの2ndアルバム。Hikesはtoeの美濃さんが録音を担当したLilt EPで知りました。その中のOnsetという曲が奇数拍子でドタバタしながらバーストするスケールの大きい物凄くカッコいい曲なので機会あったら是非聴いてみてください。今回のこの2ndアルバムも全体を通してかなりいいですね。繊細ながら高らかなこの感じ。演奏テクニックも相当高く唄心もあるのでポストTTNGという声もあったりします。ただ大きく言いたいのはそれだけではなく切迫した自己表現という点においてめちゃくちゃ刺さるものがあるということです。やはり肝になるのはフロントのNay Wilkinsの存在ですね。今回のMahal KitaというアルバムタイトルはNayの祖国フィリピンの言語タガログ語でI Love Youという意味らしいです。自身のトラウマや喪失感などに起因した渇望するような希望のI Love You。マイノリティ寄りの存在から発せられるこの愛のある強いメッセージそしてその意思には強く敬意を表します。素晴らしいバンド!6位。


5.Mac DeMarco - Here Comes The Cowboy(Mac’s Record Label)(5/10)

カナダ出身のSSWの新譜。4枚目が公式なようだけどもっとたくさん出ている気がする。今作は自身のレーベルからのアルバムリリース。思えば大分作風も変わってきてまして個人的にはSalad Daysと2が過去作では好きです。この新譜のことをお話ししますね。聴いてて思ったのは平坦な日常をさらに焼き増ししてフィーチャーしたような音楽集だなということ。ただアルバムを通して変化してない訳ではなくChoo Chooのようなアッパー寄りな曲もあったりHeart To Heartのような夜っぽい曲もあったり1日の中での時間の移ろいのような感覚を受けます。そして全体を通すほの寂しい感じは枯れやわびさび、そして終わりや無を表現している気がします。私たちの昨日はもうすべて過ぎ去っていきまた新しい日が始まりを迎えるだろうそして今日という日はバイバイするけどまだ今日でいさせてくれよパーティーは実はまだ終わってないんだぜ。という感じもします。特にアルバムの一番最後とかの驚きの展開とか。いやしかしでもこの音楽はとても優しく聴き手に寄り添ってくれること請け合いですよ。決してうるさくはないし音数の少なさやフォーキーな趣きも全体を通してリラックスして聴けていいですね。5位。



4.Julia Shapiro - Perfect Version(Hardly Art)(6/14)

ワシントン州はシアトルのバンドChastity BeltのフロントウーマンJulia Shapiroのソロ1stアルバム。Chastity Beltのバンドとしての新譜も今年リリースされてそちらもすごくよかったのですが自分はこちらのソロアルバムを推したいです。暗く閉ざされた自分自身の殻から上を少し見上げると微かに見える光が差してくる。その明るく輝く光を追い求めるように希望を持つ。そしてゆらゆらとした青白い炎をゆっくり少しずつジリジリと燃やしているようなそんな印象を受けます。サウンド的には(Sandy) Alex GやElliott Smithのような内省フォークポップのスタンスでGalaxy 500のようなバンドサウンドをほぼ一人で作り上げてしまったという感じ。随所にあるレイヤーがかったギターノイズも曲のよさを邪魔せずそれを活かす方向性に持っていってますね。こういう内省的なアルバムはずっと聴けるよさがあります。陶酔できる美しい世界観がとても身に染みました。4位。



3.Crumb - Jinx(Crumb)(6/14)

NYはブルックリンの4人組Indieバンドの1stフルアルバム。2枚のEPの評判がよく自分もそれらを聴いてはいました。でもイマイチそのよさがわからなかったのですがこの1stを初めて聴いたときはガツンとやられました。まとわりつくような憂鬱をセンチメンタルやノスタルジックな方向性に昇華させる訳でもなく憂鬱のまま進む曲群。かと言って暗く閉ざされたままでもなく若干開き気味の扉。そこから夢見心地な夜の世界へと誘うような趣き。この独自なサウンドの耳触りは聴いていくうちにサイケデリックに作用して結果的には幽玄の世界へとトリップさせてしまうという恐ろしいグルーヴのループを生み出しています。各楽器陣のスキルの高さは出自がガレージなバンド界隈ではないだろうなということが伺えます。そして自分たちの出したいサウンドをしっかりそしてはっきり打ち出してるという強みも感じとれます。ジャジーでメロウそしてスムージーで滑らかだったりするある種のお洒落さもありますね。voのLilaさんの歌声は気だるく憂鬱でこのサウンドにとても合っています。とにかく唯一無二でオリジナリティの塊のような素晴らしいこのアルバムでした。3位。


2.Aldous Harding - Designer(4AD)(4/26)

ニュージーランドの女性シンガーソングライターによる3rdアルバム。前作が各メディアで絶賛されたようですが僕は今作から入りました。これは見事な内省フォークポップ。子供の頃の童心にかえりたいけど痛みを抱えつつも現状を受けいれて前に進んでいこうとする。そんなセンチメンタルでノスタルジックそして冷たいなかにも温かみの微かに感じられる空気や気配を曲で表現しているような気がします。そして自身の母親もシンガーだと言うそのボーカリゼーションの豊かさ。特にZoo Eyesのオクターブ違いで高低を使い分けたりする圧倒的な表現力には舌を巻きます。そして歌やメロディにしなやかな力がすごく感じられて素晴らしいです。そして最も言いたいのはThe Barrelという曲が自分のなかで今年イチの名曲だったということ。多くは言いませんがイントロのピアノの音色から始まりそこから目の前の全ての風景を変えてしまうような素晴らしい魔法のような曲です。是非聴いてみてください。2位。


1.(Sandy) Alex G - House of Sugar(Domino)(9/13)

ペンシルバニア州はフィラデルフィアのカルトポップスターの通算9枚目(?)のニューアルバム。いやぁ傑作ですね。このアルバムに対しては音楽的な話を一切しないです。まず逃避のために音楽があるとします。このアルバムはまさしくそのためにあるものだと確信しました。このアルバムを聴いてるとここではないどこか遠くへ連れてってくれる気がする。だけど最終的には自分のホームそして自分自身に帰還するというまるで壮大な次元における自分探しの旅のような雰囲気を得ました。感覚的には軽やかに高いところへとピョーンと飛び跳ねてみたり逆に低いところをドロドロとうごめいたり右往左往してみたりグルグルとループしてみたりジグザグとしてみたりと言った感じに。またことばで説明しようとすると、新しくもあり懐かしくもある。遠くもあり近くもある。冷たいし温かい。楽しいし悲しい。スケールも大きかったり細かく繊細だったり。こんな感じに二元的にどんな抽象表現でこの音源の聴いたときの感情なり思いなりを言語化しようとしても的を得ないしどこかへこぼれ落ちてしまう。でもそれらを全て内包している。ことばでは言い表せきれないような感情や感覚を(Sandy) Alex Gは音楽で不思議にも見事に表現していて本当に稀代の素晴らしいアーティストだなと思います。House of Sugarではこの壮大な旅の先には何てことのない自分を省みていた。ただそれだけだった。という結果的な何気なさが。グサリと刺さったというはなしでした。変なはなしですが。音楽を聴いて新譜を探して聴いているのはこういう傑作に出会うためのようなもので本当に素晴らしいアルバムだなと思いました。1位。今年のベストアルバムです。


以上、年間ベストでした。

基本的に内省的でセンチメンタルでノスタルジックな音楽が好きなので今年のアルバムの選定はそれに見事に当てはまりました。
そしてこのベスト10以外にも2019年は素晴らしいアルバムが多かったですね。
今年は定期的に新譜を確認していましたし他の方面もちらっとは聴きましたがまあやはり今回のベストは例年と同じようにバンドものが主体となりましたね。

そして
10年代も今年で終わりというわけですね。
気が向いたら10年代ベストのブログも書きたいところではあります。
気が向いたら...。

来年からは2020年でまた新たな10年間も始まります。
当ブログも機会みつけてアルバム紹介とかもまたやりたいです。

それではご覧いただいている皆さまよいお年をお過ごしください。

2015年12月10日木曜日

My Best Album Of 2015

皆さんいかがお過ごしでしょうか。2015年も残すところ後数週間という時期になってまいりました。今年もこのブログは放置していましたが、せめて年間ベストだけでもと思い書かせていただきます。

今回のベストはトップ10のランキング形式で発表します!!

では、早速いきましょう!

どりゃー!



10.Pile - You're Better Than This(Exploding In Sound/Fierce Panda)

ボストンの4人組ポストハードコアバンド。地元のローカルなパンクシーンではレジェンドでヒーロー的なバンドみたいです。僕は今回のこのアルバムから知りました。まず言いたいのは1曲目のThe World Is Your Motelのインパクトがスゴい!フラストレーションを爆発させたようなこの1曲の強みだけで今回のベストに入れたと言っても過言ではないくらい。前のめりでアグレッシブに展開していく硬質なパンクサウンドは熱くてカッコよくて痺れます。そして前のめりな曲調の曲が実はこの1曲目だけなんですよ。そこもまたスゴい!後の残りの曲はじわじわと盛り上げていくようなスケール感のある曲になっています。最初に改心の豪速球を投げられてしびれているところに更に真骨頂を見せつけてくるようなアルバムの展開ですね。今後ライブを観たいと思わされるバンドです。カッコいい!


09.Protomartyr - The Agent Intellect(Hardly Art)

デトロイトの4人組ダークポストパンクバンドの3rdアルバム。カッコいいですねー!でもなんか不思議な感覚。メロディを歌わない吐き捨てる様なボーカルスタイルなんですけどしっかりとメロディが聞こえてきてポップに聞こえる。ボーカルを引き立てるバックの演奏が引き出しが多くとても旨いんですね。クールと熱っぽさ、そしてポップとシリアスとの加減のバランス感覚がとても優れている。ところでこのバンドのボーカルは中年の太ったおじさんなんですけどそれがまたこのバンドのキャラクターと個性になっていて僕なんかはとても勇気をもらえます。それはさておき今回の3rdアルバムはProtomartyrの新たな可能性を高々と掲示したような素晴らしいアルバムだと思います。そしてライブが観たい!


08.Palm - Trading Basics(Exploding In Sound)

10位のPileもそうですしこの後のランキングでも2枚選出したのですがExploding In Sound Recordsというレーベルがかなり熱いです。2015年もオルタナティブ最前線なバンドのリリースが続いてかなり信頼をおいているレーベル。その中でもこのフィラデルフィアの4人組バンドPalmはこのレーベルの中でもかなり独特。どうやって曲を作ってるんだろう?と首をかしげてしまうくらい一筋縄ではいかない変な曲展開をしてます。計算しているのかもよくわからない奇天烈さ。尖ってるんだけどファニーでポップな要素もあるし全く掴めない。でも難解というわけでもないし。もはやよくわからないコズミックでスペーシーな感じも出ていますね。聴いていると???というクエスチョンマークが頭のなかで浮かんでくるでしょう。そうして何これ?と引っかかるうちにめちゃくちゃハマるというパターンです。個人的にはポップさとキチガイな感じが同居しているという点でDeerhoofに共通項を感じましたが引き合いに出せるバンドは少ないと思います。独特。あと女性メンバーがいるのですが全く可愛らしい感じになってないのもよいです。


07.White Reaper - White Reaper Does it Again(Polyvinyl)

ケンタッキーはルイビルの4人組ガレージポップバンド。いやーいいですね!聴いててワクワクしますしエネルギーがほとばしっています。音的にはThe Exploding HeartsとThe Get Up KidsとTy Segallを折衷して50sのアメリカンポップスやサーフのエッセンスをさらにミスフィッツのようなホラーテイストもちょっぴり隠し味に加えたような感じ。わかりにくいかもですが一言でいうと見事な音楽をやっているということです。キーボードのメンバーがメロディを自由に弾いていてハードになりがちな音にポップさと楽しさを与えていますね。元気があって聴いていて楽しいというのが一番いいです。Polyvinylというレーベルからリリースなのもグー。



06.Deerhunter - Fading Frontier(4AD)

Deerhunterの2015年作。いいですね!Deerhunter!このバンドの肝はメロディと浮遊感だと思っています。今回のアルバムのサウンドはスッキリとシャープになっているんですけどその肝である2つの要素はさらに際立っています。でもそういう音の説明はまず不要な素晴らしいニューアルバムだと思います!9曲で40分以下という尺も飽きさせずリピートして聴けてポイント高いですね。



05.The Cairo Gang - Goes Missing(God?)

Bonnie 'Prince' Billyとの共作でおなじみという枕詞がこの方の紹介のされかたですけど僕はこのアルバムで初めて聴きました。Drag Cityの傘下でTy Segallが主催のレーベルGod?からのリリース。前途の共作の音源やソロの過去作との比較はまったくできないのですけどこのGoes Missingはとてもいい。The Byrdsスタイルのアメリカンロックを若干ひねくれながらも正しく引き継いでる。甘酸っぱいメロディがまたポイント高い。楽曲ごとに曲調や録音のスタイルが違うのがそれぞれの曲を際立たせていますね。今後、末長く愛聴できるよう大好きなアルバムになりました。



04.Palehound - Dry Food(Exploding In Sound)

Exploding In Soundの中では2015年一番の売れ線でレーベルのBandcampでもこのDry Foodのフィジカル音源が軒並みソールドになっている現在です。そんなPalehoundは女性gt,voがフロントマンの3人組バンド。Speedy Ortizにも比較されるようなオルタナティブなサウンド。Speedy Ortizのようにメロウでセンチメンタルな要素も結構前面に押し出されていてそこが魅力になっています。女性voのパーソナルな葛藤を歌詞やサウンドに乗せて歌っているような様子でそこらへんはグランジスピリットを感じますね。時には激しく、時に切なく、そして熱さを冷ますようにひたすらダウナーになったりと曲が多彩。個人的には後半のひたすらダウナーかつノスタルジックになっていく展開がとてもたまりません。2015年でも注目盤だしこの先のこのバンドの展開も楽しみです。



03.Sufjan Stevens - Carrie & Lowell(Asthmatic Kitty)

このアルバムは2015年の初頭にリリースされましたけど出た当初から各メディアのベスト入りも確実だった2015年でも最重要盤ですね。それは僕の選ぶベストでも例外ではなかった。1曲目のイントロと歌い出しだけ聴いて絶対これは名盤だ!と確証できるようなある種のインパクトがありましたね。扱う題材がとてもシリアスで全体的には暗い内向きなムードが漂うアルバムですけどうたと演奏が本当に綺麗で繊細なのが素晴らしいなと思います。惜しいなと思った点はカジュアルかつ気軽には聴けないという点ですね。ただそれだけ荘厳な雰囲気を出しているというわけですからアーティストとしての手腕がいかんなく発揮されているということの裏返しになっているということは大いに言えます。



02.Twerps - Range Anxiety(Merge/Chapter Music)

オーストラリアはメルボルンの男女4人組バンド。Flying Nunリバイバルで沸騰しているオージーインディが今熱い!そして、その中心にいるのは間違いなくこのTwerpsです。ノスタルジックで甘酸っぱくて人懐っこいメロディを乗せたうた。そして熱いんだけどそれをヒラリとかわすように演奏される肩の力が抜けてリラックスしたポップサウンドは現在のオージーインディシーンの活況と音を見事に掲示しているようでグッときます。Flying Nun RecordsのThe Batsにかなりの共通項を感じますけどTwerpsもThe Batsみたいに末長く活動してもらいたいバンドだと思っています。今作はまずはその試金石になるような素晴らしいアルバムだと思います。今後も楽しみ!


01.Leapling - Vacant Page(Exploding In Sound/Inflated)

ニューヨークはブルックリンのバンド。Exploding In Soundからのリリースです。決して交わらない相反する要素が音のなかに混在するところが聴いていて素晴らしいなと思います。混沌と秩序、不安と安心、 緊張と緩和、冷たさと優しさなどといった対岸に存在するはずの要素が見事にブレンドされていて聴いてるとさまざまな感情が沸いてきて揺さぶられます。ラウンジのBGMでかかっていてもいいようなお洒落な要素も持ってるので聞き流せる感じもあるんですけどよく聴いているととんでもなく深遠なことに気づいて驚きます。ひとえにセンスがあると片付けるのはナンセンスですけど本当に才能がありますね。今年はこのアルバムをずっと聴いてました。ベストです。



以上、今年のベスト10でした。

選定の基準としてはよく聴いたアルバムという点と同じバンドでも過去作と比較して1番の出来だったなど色々と吟味した結果こういう感じになりました。

2015年は音源以外でも奇跡的な来日が多くて音源と共にライブも楽しめてとても素晴らしい年になりました。

来年もいい年になると嬉しいなと思います。

それでは皆さん、よいお年をー!

2015年3月9日月曜日

Coasting - You're Never Going Back

こんばんは。お久しぶりです。
僕は元気でやってます。

今日の1枚を紹介します。
Coastingというバンドの2011年作、You're Never Going Backというアルバムです。

どんなバンドか簡単に紹介するとCoastingはアメリカのギターボーカル女子とドラムコーラス女子の女子2人編成のバンドです。 


メンバーはギターが元Dream Diaryで現在ではNotsというバンドでも活動してるMadison FarmerさんでドラムがVivian Girlsの3代目ドラマー(らしい)のFiona Campbellさんです。

ざっくりとこんな感じですね。

音のほうは現在のUS INDIE ROCKのデュオ編成の趨勢な感じの音を出してます。例えばNo AgeやJapandroidsなどと言ったバンドに近くざらついたアメリカっぽいオルタナ感が色濃く出ていますね。

そして特筆すべきはメロディがいい!なんとも言えない郷愁感と夕暮れ感が混じったような独特の世界観のメロディに掴まれます。すべてはYou're Never Going Back「あなたは二度と戻ってこない」というセンチメンタルなアルバムのタイトルが物語っているような気がします。切ない曲が多いんですね。

僕がアルバムの中で特に好きなのはFor Hoursという曲なのですがこの曲は本当に素晴らしい!夕暮れ時に海辺に沈む夕陽に向かって切ないけどギターをかき鳴らして歌い叫ぶみたいな印象です。沁みるカッコよさですね!
 


その他の曲もBandcampで全曲フル試聴できます。どの曲も好きですねー。最高!



CoastingはRiot Grrrlや女子ボーカルのINDIE ROCK、そしてデュオ編成ものなどお探しの方にかなりオススメです!

2014年の11月には再結成のライブをした模様です。また音源を出して欲しいですね。ライブも観てみたい!

今日はCoastingのアルバムの紹介でした。
ではまた〜!

2014年12月3日水曜日

My Best Album of 2014

こんばんは。お久しぶりです。

今回は2014年のマイベストアルバムを決めましたのでトップ10のアルバムをアルファベット順でお知らせします。ちょっとしたコメントも付けて。

では!ゴーゴーゴー!!

 Blonde Redhead - Barragan
20年選手なBlonde Redheadの2014年作。今回も独特なサイケデリック感覚はいっそう研ぎ澄まされていますね。フワフワした浮遊感が聴いてて心地よいし、このストレ ンジな世界観は引き込まれます。ちょっと普通とは違うメロディを歌うカズ・マキノさんの魅力的なボーカルもやはり冴えています。

Fear Of Men - Loom
 
今回のベスト10では一番若手のFear Of Menの1stフルアルバム。インディーポップの型では到底収まりきらないダイナミックなロックを聴かせてくれてます。波間を漂っていくような音で聴きながらそのままゆらゆらしていたいアルバム。ダークなゴスっぽさとドリーミーさが同居してるのもグッド。

J Mascis - Tied to a Star

Dinosaur Jr.のJ Mascisのソロアルバム。90年代オルタナの延長線上にあるアルバムだとは思うんですけどそこのラインにプラスでガラス細工の様な精巧で奇麗なうたが乗っかってます。アシッドフォーク的な繊細で内省的な音世界でとても沁みます。バンドっぽい曲もまたいいですね。

Mac Demarco - Salad Days

Captured Tracksからの3rdアルバム。ダラダラしていてルーズなところがいい。キラキラと光るギターフレーズもグッド。80年代のダサさを10年代のカッコいい仕様にアップデートさせているところが憎たらしいくらいのセンスを感じますね。この今の2010年代におけるINDIEの金字塔的アルバムかもしれません。よい。

Pure X - Angel

地味に且つじわじわと来るPure Xの3rdアルバム。ドリーミーでチルアウトできてアンニュイでセンチメンタルでメランコリックで。と、横文字のオンパレードですけど一言とても良いアルバムなのです。聴いてて懐かしさと新しさも感じますし、まずグッドメロなうたを立たせているのが素晴らしい

Real Estate - Atlas

Real Estateの3rd。発売当初に聴いてるうちは過去作から比較してかなり洗練されている印象からしゃくに触ってよくないと思っていました。でも聴いているとそのうちそのアメリカンロックのマナーに裏打ちされた基本に忠実なロックサウンドがかなりよく思えてきました。洗練されていてシャープな曲達は飽きることなく聴けますね。

Spoon - They Want My Soul

SpoonのThey Want My Soulが今年度の新譜で一番よく聴きました。コンパクトな収録時間で何度もリピートさせて聴かせる魔力があります。収録曲は緩急自在で色んな曲がありますね。時にはスリリングにリスナーを煽り、時には包容力のある優しい曲も聴けたりします。という訳でSpoonが今年度ベストオブベストで決まり。

Stephen Malkmus & The Jicks - Wig Out at Jagbags

2014年1月の初頭に出たアルバムで意外と忘れている方もいるのではないでしょうか。90年代から10年代に続くオルタナまたはローファイの生き証人のマルクマス。まず曲の説得力が段違いです。かと言って力が入っているのかというとそういうわけでもなくて基本的にリラックスして聴けるのがいいですね。

Ty Segall - Manipulator

何枚アルバムをリリースしているのかよくわかってないTy Segallの2014年作。とてもロックしてる素晴らしいアルバムです。マックデマルコのそれとはまた違ったとびきりなセンスを感じます。曲の幅もとても広くて1時間近く収録されてるアルバムですけど決して聴きだれたりしないのがいい。マーニーピュレイター♪

Woods - With Light & With Love

Woodsいいですねー。大好きです。今作は彼らの集大成的なアルバムに現段階で位置づけさせられる名盤ですね。どの曲をとってもグッドメロで全曲シングルカットできるくらいの名曲揃いでもう最高。今後アルバムリリースされるでしょうけどこのアルバムを超えることはできるだろうかというくらいの快作です。グレート!!!

というわけで2014年のベスト10のアルバムを紹介しました。

聴けてないアルバムも多いですけどまあ今年もいいアルバムが多かったような気がします。また来年の2015年も期待ですね!!

では〜。

2014年9月7日日曜日

Fear Of Men - Loom



こんばんは!お久しぶりです。

今日の1枚は2014年4月に発売されたUKはブライトンのバンドFear Of MenのLoomです。

Fear Of Menを知ったのはたぶん2年くらい前で、Loomの国内盤にも収録されているBornあたりをYoutubeで聴いたのだと思うんですけど、良いメロディでインディポップっぽい佇まいに惹かれたのを憶えています。

で、初期音源集も出てしばらくして2014年にLoomというアルバムが発売されたとの話でFear Of Menってバンド良かったよなと思い出してYoutubeで試聴したらおぉ!これは良いと思った次第です。

素晴らしいアルバムで良かったので国内盤のCDを購入しました。

Loomの国内盤の帯には"Beach HouseがThe Smithsの楽曲を奏でているかのような圧倒的なクオリティ"という謳い文句が書かれています。

この表現をみてふたつのバンドとFear Of Menを結びつける共通したものは何だろうと考えてみると、「不安」「荘厳」「美しさ」「ノスタルジー」が浮かんできました。

Fear Of MenのLoomを聴いてみるとBeach HouseやThe Smithsの持つこれらの要素を多分に含んでいると気づくと思います。

聴いてる感覚的には本当に上記のふたつのバンドに近い感じだと僕も思いました。

全体的な印象の中でも特筆すべき点はうたで、不安な内容の歌詞を美しいメロディに乗せて歌うジェシカ嬢の優しくて儚いボーカルが素晴らしいです。

一定のトーンを守ってるんですけど表情や表現が豊かだと思います。とても魅力的なボーカルですね。
 
聴いててあぁ良いなと思わせる曲の良さも素晴らしいです。

そのボーカルの乗るダイナミックだけど細部まで行き届いた演奏も聴きどころ。上手く説明できないですけどガツンとくる演奏です。

印象に残るのはドラムが普通の叩き方をしてないなという点ですね。変則的な叩き方ではありますけどダイナミックな演奏を演出させていると思います。

最近のIndie Rock/Indie Popで良い女性ボーカルのバンドはないかなと思われる方いたら2014年はFear Of MenのLoomを推せますね!

良いバンドの好盤なので是非。

では!

2014年6月22日日曜日

Woods - With Light And With Love

こんにちは!いかがお過ごしでしょうか。

今日の1枚はアメリカのブルックリンはWoodsistレーベルから2014年4月にリリースされたWoodsの7枚目のアルバムWith Light And With Loveです。

7枚のアルバムをリリースしていくなかでメンバーが変わったり作風も徐々に変わっていますけど、今回のアルバムはWoodsの集大成なアルバムになっていると思います。つまりWith Light And With Loveは現時点で彼らの最高傑作であるということ、そして快作ロックアルバムだと豪語できます。

まず言えるのはやはりJeremy Earlの歌うメロディが素晴らしいということ。

今回のアルバムでもそこを起点にして聴けるくらいバッチリです。

憂いを帯びながら力強く歌い上げるファルセットにも近いような天使の歌声はますます炸裂しています。

歌詞について言うとアルバムには歌詞カードが付いていないのでネットで数曲の歌詞をみて僕は人間の孤独や苦悩などと言ったネガティブでどうしたら良いかわからない暗い部分にどうにかして「光」を当てたいという願いにも似た思いを感じました。

光を連想させる曲名も多いですし。

その中でもWith Light And With Loveというアルバムの表題でもある9分を超える曲では「どうしたら良いかわからない、どうしたら良いか教えてくれ」ということを歌っている部分がありますが、演奏ではふざけるな!と言わんばかりにギターを弾きまくっててこのアルバムで一番ロックな曲に仕上がってます。 

歌詞における苦悩と演奏における力強さとのミスマッチがとても印象に残る曲です。

この曲が収録されているという点でもこのアルバムの価値がありますね。

その他にも素晴らしい曲ばかりが収録されています。

牧歌的でトラッドを感じさせたり、フォーキーな温もりを持たせたり、ロック的なアンサンブルを聴かせたり、ピアノやオルガンの音色でほっこりさせたり、ときにはギャンギャンと痺れるサイケデリックな演奏であったり、と曲ごとに様々な色彩を感じられるアルバムであると思います。

ただ冒頭でも述べた通りどの曲もメロディが素晴らしいです。そこは一貫していますね。

そして10曲でおよそ40分という収録時間もアルバムとして個人的にジャストです。

ここまでざっと感想を述べてきましたが、2014年の上半期でリリースされた中ではかなり良い上質なアルバムになっていると思うので良かったら聴いてみてください。

そして2010年以来の再来日を切に希望します!!!!!

それでは!

2014年6月19日木曜日

Pure X - Angel






今日の1枚はアメリカはテキサス州オースティンの4人組バンドPure Xの3rdアルバムで2014年作のAngelです。

すごい素敵なアルバムであります。まずはその一言を。

とりあえず聴いてて思うのはすべての曲がこの世を憂いてるなーということ。

かと言って悲観したり暗いのかというとそんなことはなく、ひたすらにロマンティックで甘いムードを漂わせています。

いまここにある現実とは切り離して自分達の理想郷、桃源郷を目指したようなそんな感じの曲群。

それが曲名のLivin' The DreamやHeaven、Angelなど現世とは離れた言葉の数々に表れていますね。

それらの表してるぼんやりとした輪郭のないイメージを見事に曲で伝えているのではないかと思います。

鳴っているのはまるで天国からの音のようです。

このアルバムを聴いていると自分も世俗的なことは忘れてこの音に身を委ねていられます。

これがチルアウトなんだと思ってしまいますね。

あとこのバンドを聴いてて思うのはベースラインがとても良い!

憂鬱だったり甘酸っぱかったりと良いベースを弾きます。

赤キャップと髭面がトレードマークですね。

Real Estateとツアーを回ったりしてるようですが人気は出るんでしょうか。

大好きですけどね。

2013年11月10日日曜日

The Sea Life - Transitions

 

初めての試みとなりますがBandcampの音源レビューをしていきたいと思います。

Bandcampってブログに埋め込みして試聴も兼ねて紹介できるので便利ですね。

ではひとつ。今回はワシントンDCを拠点として活動しているThe Sea Lifeというバンドです。

The Sea Lifeはここ最近"Indie Pop"というワードで検索して聴いて良かったバンド。

Transitionsという4曲入りのEP。

ノスタルジックながらも泣き泣きではなく力強い演奏が良いですね。


激しくないCrystal Antlersという感じの印象も受けますし、The Flaming Lipsのようなよくわからない得体の知れなさも持っていますね。

音色的には非常にカラフルなんですけど、ノスタルジックでセピアな憂いたメロディを歌っていてそのミスマッチさがたまらなく良いです。

去年リリースのアルバムも良いのでそちらも良かったらー。

という訳で簡単ですけどバンドの紹介という訳で。


この感じだったら結構頻繁に更新できるかもしれないです。Bandcamp探訪ということで良かった音源を紹介していきたいですね。

では!

2013年10月29日火曜日

Foxygen - We Are The 21st Century Ambassadors Of Peace & Magic



こんばんは。いかがお過ごしでしょうか。

僕は元気でやっています。

今回はFoxygenの2013年作のアルバムWe Are The 21st Century Ambassadors Of Peace & Magicを紹介します。

Foxygen!本当にカッコいいですね!マジでイケてるロックアルバムだと思います。

チャーミングでストレンジさを持つサイケデリックなロックはまさに現代のThe DOORSですよコレは。

9曲で37分のこのアルバムを聴いてみると、激しく目まぐるしかったりときに穏やかに気だるく次々と曲が展開していくジェットコースターみたいなアルバムになっています。

こう書くと取っ付きにくそうというイメージも沸くかもしれませんが、そんなことは一切なくポップに聴けると思います。むしろとても聴きやすいです。明るめの曲も多いですし。

曲のメロディなんかをとってみてもm4の「San Francisco」 なんかは童謡的な懐かしさすら感じる素晴らしい曲になってます。

これ以外にも1曲1曲がアルバムのトータルとしての一部として統一感を持たせ、どれも変てこりんだけど特徴的なアイデアが詰まってる曲で聴いていて飽きないですし、何回でも聴けるそんなアルバムです。

このFoxygenのアルバムや去年のTame ImpalaのLonerismなどもそうですけど、古いと思われている60年代のクラシックなロックをここまで2010年代のバージョンにアップデートしている様をみると温故知新という熟語が浮かびますし、この脈々と歴史が続いてる感じが単純に嬉しいですね。

過去のものを引き継いで今と照らし合わせてカッコいい音を鳴らすというロックの醍醐味が存分に味わえますし、是非この「We Are The 21st Century Ambassadors Of Peace & Magic」を聴いてひとときのピースなマジックにかかってみてはいかがでしょうか。

また近いうちに更新したいです。

では!

AOTY 2021(年間ベストアルバム)

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